2010年09月18日

北アルプス・裏銀座で野口五郎岳へ 


七倉-高瀬ダム-烏帽子小屋-三ツ岳-野口五郎岳の行程

烏帽子小屋テン場にて宿泊。


日本三大急登のひとつ、ブナ立尾根の行く。
テント泊のため重装備な我々を待ち構えていたのは、聞きしに勝る鬼急登だった。。

秋の3連休、とびっきりの山行となった。

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日付が変わる頃に七倉到着。
最近妻が車内をフラットにすることにハマり、凸凹の無い車内で快適に睡眠をむさぼる。。。
「たまには、役に立つもんだなぁ〜・・・」なんて

高瀬ダム堤まではタクシーで、七倉〜高瀬ダム間の通行時間を確認する。
遅れた場合、この間は徒歩になる。。 「ま、いっかぁ」等とこの時は余裕。

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ダム堤を西へ、ひんやりするトンネルを抜け不動沢の吊橋を渡る。
その時、ダム方面よりゴーーーーッ!!!という地響きのような轟音が・・・!
一同、不安になって立ちすくむ。。。
すると数十秒後 トンネルから幾連にも連なってダンプが来た。

トンネルの中で反響してこの世の終わりのような音になってたのだ・・・
それにしても、先刻トンネルで迂闊にも真ん中を歩いてしまった。
それこそ正にこの世の終わりだ・・・


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濁沢の橋を渡り、右に進むとブナ立尾根登山道だ。
手前に水場もあるが、今回は立ち寄らずに進む。

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なんか帰って炬燵にでも入りたくなるような風景・・・


尾根道は展望の無い樹林帯の急登。登山口からは#12から#0までの標示が目安。
逆に言うと標示が登れど登れど進んでいない現実を思い知らせる。

とにかく、近年のぬるい いや、楽しい山荘泊まりに慣れていた我々の肩には泣き出しそうな荷物。
最小限に最軽量化を図って吟味してきた荷物なれど、一度急登を目の前にすると恨めしく感じるものだ。

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ブナ樹林をジグザグ・ジグザグ・・ジグザグ・ジグザグ・・もぅエンドレスなジグザグ・・・
要所要所に手入れがされており、安心できる道だ。
そうだ、そうなんだ・・安心だ・・と呪文のように3人で言いきかせ合う。。

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したたり落ちる汗を何度も拭って、帰路の膝の心配なども無駄にして、やっと記憶が薄れてきた頃に#7。
無情な標識に憎まれ口を叩く妻をなだめ・咎め。 比率としてはなだめ9:咎め1。
咎めたかったさぁ! でも面倒極まりないんだ! この際標識には憎まれ役を買って出てもらったのだ!
まるで、嫁姑問題に巻き込まれる気分・・・なんで俺が感が否めない。。。

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次第に樹林がコメツガやシラビソに変わる頃には、妻の機嫌も元通りだった。
「迷惑かけたね・・・本当にありがとう・・・」通り過ぎる標識に心の中で頭を下げる俺。。。

#6を過ぎ、崩壊地へ出る。もう烏帽子・南沢丈・不動岳がお出迎えだ。
あいにくガスまみれだったが、時折ひょぃッと顔を出す面々。

再び深い樹林の中の尾根を急登し、妻の言葉を8割方無視して進むと傾斜は緩む。
2.209m三角点#4の小広場だ。
この日出会った7〜9人パーティと話しこんで、汗も引いた頃に出発。
その後も、リーダー率いるご一行と何度も休憩場で一緒になり、前方から聞こえる彼らの笑い声に幾たびか癒された。

残す行程は1/3!と意気込むと、骨髄レベルの反射で 「{今日}でしょ!?{今日は}でしょ!?全行程じゃないでしょ!?」 の反応。
そうだけど・・そうだな・・うん、そうだよ・それがなにか??知らないワケないじゃん・・・

面倒な人間というのはどこにでもいて、こんな心が洗われる様な山の中にもいる。。。
こんな急登でも平気で揚げ足を取ってくる。 そこがシロナギだろうと鎖場だろうと構うこたぁない。
「独り言だから、気にすんな!」とは彼女の中では「俺が負けだから、深追いしないで!」になる方程式を持っている。
もっとも、そこで息を切らしながら言おうものなら何度も聞き返される・・・
「なに!?? なにって!?? 聞こえない! もう一回大きい声で言って!」
先頭を行く彼女は決して振り向かない。振り向かずに言う。
立ち止まって後ろ向いて聞いてみる。それは敗者のとる行動だと信じている。
もぅ実際面倒臭い・・・

右手に針ノ木岳までの展望が開け、ダケカンバやナナカマドの混生林に変わり、やがて大カンバ#1が現れる。
息子は重い荷物をいとも軽そうに背負って進む。
テン場で聞いたら中身は菓子ばかりだったが・・・

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やっとの想いで上がって来た、烏帽子小屋。早く荷物を背中から離したい気持ちが先で、早々にここは立ち去る。

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雲がグングン展望を包む。ヘリポートから下ってが、テント場。
テント設営の後、頭痛に悩む面倒なのは放置し、息子とニセ烏帽子まで散歩へ出かける。

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急げ、東から雲に飲み込まれる・・・!
空が大きな口だとすると烏帽子はコーンフレークか、はたまたシリアルか、なんだかザクザク旨そうだ。

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息子にカメラを託し、静かな散歩道を満喫する。
この雲のせいで登山客も小屋で足止めされている。。。
ニセ烏帽子に着く頃には、烏帽子岳・南沢岳・奥にそびえる立山・剣も雲にのまれていた。

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アルファ米・レトルトカレーで温かい夕食に。
テントの中で干乾びているのは、寝かしといて息子と二人で野外学習のようにはしゃぐ。

今宵の星はどうだろう・・・ふとそんな不安がかすめた・・・

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9/19 天気は晴れ・快晴とまではいかないが、正々堂々と【晴れ】。

昨夜の星はダメだった。22時頃から濃霧に呑まれ明け方前まで視界1mもない霧だったのだ。
テントや山荘泊まりのように、ひとたび安心できる場所に居座ると深い霧もまた風流に感じる。。。
まるで、真綿の中でギュゥギュゥにされて蠢くネズミのように。
山行中の濃霧は、泣いて漏らして引っくり返る程に恐ろしいけど・・・

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今日はテン場に荷物を置き、野口五郎へと向かう。
昨日妻が責め続けていた、【全行程】の2日目だ。
烏帽子ヒョウタン池の横を歩き、いよいよ北ア中央部の大縦走路 森林限界を超えた稜線の縦走だ。。

悲しいかな・・ボキャブラリーの少ない我々一行は「半端ねぇ!」「スゴイ!」「怖い!」「気持ち良い!」くらいしか出なかった・・・

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今日の烏帽子・立山の迫力ったら・・・! まるで西洋の要塞みたいな立山。

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ゆったりとした砂礫斜面を歩き、三ツ岳はピークを踏まず肩を抜ける。
右手に赤牛・立山連峰。左手には唐沢から槍ヶ岳を望みながらの空中漫歩。

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写真右下の影は、角が二本立っているかに見えるが鬼ではない。。
写真には真の姿が映るのか・・・と一瞬ビビッたのだが・・・

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やせ尾根からゴーロ地帯を緩やかに登る。
西側山腹の巻き道は1998年の地震で大石がゆるんで不安定だ。
二重山稜の間を抜けると野口五郎小屋に出る。

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中央が野口五郎小屋。この写真は、野口五郎山頂手前から振り返って撮ったもの。

小屋からは稜線に出てわずかに登ると、広大な野口五郎岳の山頂につく。

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ここまで3時間。手ぶらで来たのに3時間。。。
ここで、ブナ立尾根で一緒だったパーティと合流する。

スタート地点から一緒だったので、気分は同志だ。
同じ釜の飯さえ食べてはいないが、同じ道を歩き同じ想いをしてここまで来たかと思うともう他人とは思えないから不思議だ。。

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写真を取り合ったり、同じ経験を語ったり、話は尽きない・・・
ここからは、湯俣山荘へと降りるらしく名残惜しいがここで別れる・・・

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「いつかまたどこかの山で会えるね!」と言って手を振る。

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帰路は、日本3大急登とだけあって 帰りは急降下させられる。
完全な登りは完全な降りに豹変して我々の腰・膝・足首を襲う。。。

降りはハイペースで飛ばす妻もそれを庇ってか、若干慎重にくだる。

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ここでもまたエンドレスな感覚に襲われ、もぅ帰れないんじゃないかと心配した。
下界の喧騒を忘れかけた時、#11に出会う。
次が#10で振り出しに戻っても 「そうなんだ・・仕方ないよね・・」 と諦めれそうな程に憔悴しきっていた。

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高瀬ダムキャンプ場まで降りて来たところでカモシカの親子に遭遇。

母カモ 「人間が居るわよ。早くこっち来なさい。」
子カモ 「怖いよぉッ。人間だよぉ。こっち見てるよぉ」
悪妻  「怖いよぉ〜!!人間に見つかったらさらわれて売られちゃぅよぉ〜ヒヒヒ」
なんかもぅ気分は戦後の日本である。人さらいにでも会ったことがあるのか・・・・
非情にもカモシカ親子に異常なまでのプレッシャーを与える妻。
「彼らのためだから」そんな言葉が似合いそうなほどドヤサ顔でふんぞり返っている。。。

閉門時間に間に合い、ダム堤に腰をかける。
曲がりくねった一本下の道にデイバッグを背負った男性陣がこちらに向かって手を振る。
彼らも同志だ・・・聞けばタクシーには乗らずに七倉まで戻るという・・・若さってプライスレス・・・!

ほどなくタクシーが到着し、それに乗り込む。
プライスレスな彼らに精一杯の笑顔で車内から手を振る。
バックミラー越しにどんどん小さくなる彼らを見送り、シートに全体重をかけて沈む。

このまま、シートと一体になりそうな感覚になりハッと顔を上げる。。。
窓から入ってくる風は冷たいが、山頂で感じたそれとは違う。
山にいると家が懐かしくなり・下にいると山が恋しくなる・・・
面倒 面倒と罵るも、他人事ではないな。と感じて一人で吹き出す秋の始めの山行。。。
ラベル:北アルプス
posted by Lilium medeoloides at 00:00| 愛知 ☀| Comment(0) | 登山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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