2011年04月20日

北ア・夏の蝶ヶ岳2,677m 神降地散策  

北アの前座・常念山脈に位置する蝶ヶ岳へ、

大正池⇒上高地バスターミナル⇒明神池⇒徳沢園(泊)⇒長塀山2564.9m⇒妖精ノ池⇒蝶ヶ岳最高点を経て蝶ヶ岳ヒュッテ(泊)

の行程。

朝陽に照らされる槍穂連峰は神々しく、遠くには富士の頭も拝むことができた。
危ないコースもなく、展望の無い道を長時間歩くことを我慢すれば、そこはもう別天地だった・・・

遠い昔の思い出話なので記憶は定かではないが、我らの脳裏の片隅に眠らせておくには惜しいと思い今回開帳の運びとなりました。


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8/12 日付が変わると同時に沢渡の駐車場へ入る。
バスは時刻表にある始発より早い便が出るのでそれに供え早々に就寝する。

もう既に空気が違う。ここは言わば山に入る為の禊の場・・・自然が醸す音を聴きながらうつらうつらと浄化が始まる・・・
目覚めは穏やかにやってきた。
どの修験者もザックに慌しく荷物を積め、鳥のさえずりの中に無機質なドアの開閉音がそこかしこに響く。

数日後には此処へ戻って来るのだ・・と漠然と想う、
何故山では生きていかれないのか・・当時買い換えたばかりの愛車に目をやり、少しだけ自分を納得させて荷造りを進める・・・

「ニ ヒ ル〜!!死語を地で行ってらぁ笑!」

「なに!?ハードボイルドなセンチメンタルな世捨て人的なその微笑!!」

「微笑とかって初めて生で見た!微笑、週間誌か!?はにかみか!?モナリザか!? ゲラゲラ・・」

・・・・・・もうね、なんかこのパターンに安心すら感じるよ。
その間、「激写!!盗撮!!スクープ!!」とわめいて俺の周りでバシャバシャと無駄なデータを蓄積する妻。

「今度は目が遠い!!遠い目してる!明後日見てんのか笑!?見えてんのか明後日笑!?」

ホント、楽しそうでなにより・・・・・・



そんな妻・・バスの中では、うってかわってシカト・・・
妻曰く狭い空間でも俺の声量のが変わらないのが嫌らしい、
間違った事や皆が知っている事を高々に言う俺が嫌らしい。

そうして当然の様に看板のタカナを間違って読んだり、【豆腐】を【なっとう】と読んだりが許せないらしい・・・
前記のとおり、それを声に出してさも当然のように話を進めるとこなんかホント大ッ嫌い!
                            だそうだ・・・
                            左様ですか・・誠にあいすいません・・・


今回の山行の目的は二つ。
一つ目は徳沢園宿泊だ。風呂もあり、食事も良く、かの氷壁の宿として名高い徳沢園。
徳沢園の夜を堪能しつつ二つ目の目的、翌日は蝶ヶ岳より眼前の槍穂連峰を望む。と、こうだ。

息子に見せてやりたい景色が沢山ある。
彼と一緒に感じたい自然が沢山ある。
いつまで一緒に登ってくれるか分からないけれど、タイムリミットは近いはずだ。
それまでに彼の喜ぶ顔を一つ一つ数えて憶えていたいと想う。
そうして俺が爺になった時に、酒でも飲みながらその時の事を笑いたい。

父のささやかな我が侭だ、息子は問答無用で同行させられているが・・・

俺の両親もそうやって山を教えてくれたから。



バスは釜トンネルを抜け、太兵衛平〜大正池へ

池には幻想的な靄がかかり、焼岳とのコントラストでなお一層幻想さを増す。

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此処に来ると祈らずにはいられない
“この美しい自然が未来永劫残りますように・・・”と


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言葉を発したら 瞬時に目が覚めて 駐車場へ戻されてしまいそうな そんな静けさの中
どの修行僧も同じようで 夢なら醒めない様に 己を自然と同化する・・・

「あぁ・・お父さんー俺トイレ行きたいかも・・・」
なんとも情けない息子の声で現実の“お父さん”に引き戻される。
俺は今の今まで樹林の一部だったのに・・・
差し詰め妻は池に沈むオシドリの糞。

オシドリの糞は一歩も戻る事を許さず、バス停にあるWCには戻らん!と猛抗議
田代橋まで行けばWCはある!の一点張り。・・・・・・見えてるんですけどバス停のトイレ・・・

糞を大正池で待たし二人でトボトボバス停まで戻る。

俺)良かったな息子、俺が父ちゃんで・・・
子)うん感謝してる、ホントに漏れそうだから走るね俺・・・

こんなところで粗相をしてなるものか、と半泣きで走る息子。難儀だ・・・

大正池までも二人トボトボと覇気の無い歩みをみせる。
我らの姿を見つけるや「は し れ 〜〜!!!」のジェスチャーの湖底の糞。

【・・諸行無常の響きあり・・・おごれる人も久しからず・・】 本当に本当ですか!?
その言葉に希望を抱いて生きてきたけど、こんな時は心が折れそうになるんだ・・・


木道を歩く。頑張って前を向いて歩く。
なんだかもう既に辛い旅になりそうな予感・・・


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オシドリの雌。雌だというだけで半ば不信になる二人。
ごめんオシドリの雌。こんな目でしか今は君を見れない・・・

そんな俺達の心中知ってか知らずか、オシドリは大挙して押し寄せ「撮る?」「撮ってみる?」「撮り給え」とマイペース。
雌が総掛かりで来た!というだけで一瞬挙動不審になった俺達は湖底の糞に一歩遅れをとった。
糞はなにやらオシドリ語で雌共とコンタクトを取っているではないか!
お 俺もオシドリ語しゃべるッ・・!−−ど どうも〜!!

・・・・・・・総シカト・・・・・・・・!!なんだよソレ!!

雌共は「じゃっ!」「じゃっ!」と口々にし「次 次〜忙しくてかなわんわ〜」と踵を返してしまったではないか!

「銀のエンゼルマーク当たったよぉ!え?5つなきゃダメなの?・・・」かよ!
その瞬間キョロチャン缶詰への欲求は消え薄れ、大人の汚さを知った。
幼少時代のトラウマがふつふつと顔を出す・・・


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銀のエンゼル5つかぁ・・・そりゃぁねえよ森永さんよ・・・
ちょっと涙目のまま河童橋を渡る。


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そして今も涙目のまま解説をば・・・
左より、畳岩ノ頭・ジャンダルム・ロバの耳・奥穂高岳3.190m・手前が岳沢。

威容を誇る穂高。くしくも晴天。
このままの俺じゃいけない、なんとか全てをなかった事の様に忘却に努める・・・
いいよ、オークションでキョロチャン缶落とすから!


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そういえば、明神池のパンフにあった“神の降りたる地”で“神降地”。
今回のブログタイトルはそこから頂いた。
地図表記も神降地でいいと思うが、そんなことになると今以上にキャッキャ キャッキャしたのがパワースポットだのと迷い込み、この地がけがれるので今のままでいいか。


梓川を明神橋で渡り返し、明神館で一息つくことに。
息子はりんごをかじり、糞はここからは観光客が少なくなるのでホクホクしている。

加えて、木道ではピンヒールが木道の接続部分にひっかかっている娘さんを見てほくそ笑み、
明神館では別の娘さんがミュールを脱いで砂が入って痛い と言うのを心底喜んでいる。

な なんて嫌な感じなんだ・・・!そしてなんて楽しそうに朗らかに笑うんだ・・・!

自身は靴はピンのみ!ピンこそ女ぞ!ミュールはオフィスNGだけどプライベート用に!とか言って玄関横のシューズBOXを占領し、沢渡の車には白骨温泉泊用で一足・翌日帰路(といってもずっと助手席)用で一足とかなんとかでいそいそ用意していたのにだ。

【人には厳しく、自分には限りなく甘く】の典型的な糞だ・・・!
書初めに、【私と地球に優しく!】と書くのはやめてもらいたいものだ・・・
自分の決意を書きなさい、と言いたい。
どや顔で掲げて「ジーク!ジオン!ジーク!ジオン!」とこっちを見るのもやめてください。
お前は総帥か、そして俺達は将校とでも言うのだろうか・・・


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「奴は明神橋も満足に渡れないであろう!」とがなり、橋の渡り口に仁王立ち。
糞の脳内では嘉門次小屋前で爪を噛む木道のピンヒールが見えているらしい。

やめて、皆の迷惑になるから・・・

特撮だったら悪者の係長クラスの発言。雇われオーナー的な。
なんだかんだと足掻いて結局基地ごと破壊されるようなアレ。

ここで羽交い絞めにして連れ戻せば十中八・九暴れて迷惑極まりないが致し方ない。

「な!なぜじゃ!捕まえるならあの娘であろう!なぜわらわを!!」
いつから姫なんだお前は・・・


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神域で無粋な・・・明神ごめんなさい・・・


そこからぴったり一時間歩いて本日のお宿徳沢園へ到着。
悪の輩を取り押さえつつ連行したので予想以上に体力を消耗してしまった。
とはいっても今回の装備は軽い。悪の係長に至っては38L+10Lという出で立ち。
息子は蝶ヶ岳ヒュッテで膨らますんだ〜と言ってリュックの中は袋ものの菓子ばかり。

徳沢キャンプ場ではわいのわいのとテント準備が進んでいるようだ。
売店でソフトクリームなど頬張り、チェックインを済ます。

前穂高がどぉーんと鎮座する目の前に座り、本日の反省会などと洒落こむ。
なぜか、冒頭から男性陣への改善希望ばかりがテン場に響く。。。


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そうだ!徳沢園は食事が期待できるんだった!と逃避をする男性陣・・・
その間、「はい、すいません」「はい、ごめんなさい」「はい、直します」がスラスラ口から出てくる。

全く心がこもっていない言葉なれど、悪役商会は気が済んだ模様。

部屋に戻って早速風呂へ。タイミングよく息子と二人で貸切だった。
二人で恒例のワニ歩きをこなし、ガラス窓の前で仁王立ち、悪役商会が明神橋で喚いたセリフを言ってみる。

「奴は明神橋も満足に渡れないであろう!」

・・・・・・・・・・・・!!俺はその瞬間腐ったみかんに成り下がった・・・


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一番初めに腐っていたのは悪役商会だが、
俺は今その隣で「ちょwおまwくっついてる!くっついてる!」と言って触れたところから腐っていくみかん。
その連鎖で、俺のそのまた横にいる息子をも腐らすみかん・・・

ブルブルと拳を震わす。「何をやってるんだ、俺は・・・」
心配そうに俺を見つめる息子。

さっきまで楽しそうにしていた父、
スックと立ち上がり窓に向かってあの腐ったみかんと同じセリフを吐く父、
しかもマッパ、
その後真っ青な顔で立ち尽くす父、
しかもマッパ。
そりゃぁ心配だ。

怪訝そうに見つめる息子をなだめ脱衣所に戻る。
「いいか、さっき見たことは誰にも言ってはいけない・・・!」
父より青い顔でブン!ブン!とうなずく息子
「さっき見たことは誰にも言わない!!言うものか!ってか見てない!何も!」
キョドると口数が増えるのは親子の証し。

念のため今夜の川の字の真ん中は俺だ。と心に決める。
寝言で言わずとも限らぬ・・・



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翌日8/13も快晴。
朝食もワッシャワッシャとかき込む腐ったみかん。
まぁ雄雄しい・・・

徳沢園のスタッフに挨拶し、向かって右手側に進む。
蝶ヶ岳への小さな小さな案内板がある。

ここから長い長い樹林帯が始まる。
笹原の中の急登を何度かジーグザーグと登る。
とたんに汗が噴出す。息子は既に弱音を吐く。
すると、皆まで言うなと言わんばかりに、息子のリュックを自分のリュックにくくりつける腐ったみかん。
わぁ男前・・・

こんな早くに弱音を吐く理由を完全に奪われた息子。

「・・・えっ!?えっ??いいの?」
「持つから今日は弱音禁止!!」

ビシイィィィィッ!と指差され反論する術を持たない息子はアワアワとなる。

自分は大変な事をしでかしたのではないだろうか・・・!?
そんなボキャブラリーもないのでただオロオロとする。
時折SOSの眼差しでこちらを見る。いや、正確には見ていたであろう。
この時ばかりは息子と目を合わせられなかった。なので憶測でしかない。

息子に申し訳ない気持ちでいっぱいのまま無言で進む(最低)


途中、木々の間からは前穂の姿が勇気づけてくれる。
“息子だって生まれて7歳・お前だって父になってまだ7歳だろう、これから学ぶんだよ”と

展望はないが、シラビソに囲まれた風の通る広場になっている長塀山山頂へ到着する。

ここからは緩い降り坂だ。ここではクルマユリに叱咤激励を浴びる。
“腐ったみかんはお前の管轄だ・お前の管理不行届の致すところだ、甘ったれるな”と
大変に厳しいクルマユリである。
一つ訂正したいが俺は中堅管理職なのだ。
女性事務員は顔で選ぶような腐ったみかん社長のお膝元で日夜ヘコヘコしている、うだつの上がらない板ばさみ職だ。
やれ組織管理・危機管理だ わめかれてもそれを片っ端からワンマン社長が蹴飛ばしていく。
クルマユリは事情を知らない引退した会長か・秘書室の課長か。どっちにしろ外野だ。
中堅管理職はワンマン社長を管理しない、いやそもそも枠にはめて管理しようなど出来はしない。絵に描いた餅を食ったほうがなんぼか楽だ。
そうだ、絵に描いた餅は食えるんだ・・・!などと心の中でシャウトしクルマユリを睨みつける。


コブ越え・コブ越え・またコブ越えを繰り返すと妖精ノ池へと到着。
展望らしい展望がここまでとんとないので、ワンマン社長はモンモンとしている。
俺とは言えば、クルマユリを見つける度に先程の節度無い自分を反省しつつクルマユリに陳謝していた。

池を見つけた瞬間息子は走り出す。ホント、子供は水辺が好きだ。
池の周りは高山植物の花々で咲き乱れて大層メルヘンチックだ。

子)「お母ちゃん、この花の名前は?」
母)「!(興味が無い!という目)」
子)「・・(ややテンションが下がる)この木は?」
母)「!(それを知ってどうする?という目)」
子)「・・(話しかけるのが精一杯なテンションに)虫いるかなぁ?」
母)「!(いたらどうなんだ!という目)」

ちょっとぉ!情操教育ぅ!大事に育てようよ!今を!!

それを言うと妻は「我、反面教師なり!」とカッと目を見開いて雄叫びをあげた・・・
・・・何か間違ってるよ解釈が・・・

反面教師は花の名前を知らない・興味無い。
以前クルマユリを形容した時に名前が出なくて
「オレンジで楳図かずおのグワシ!っぽい花」と述べたことがある。
追記すると
「グワシ!の3本の指が開いてるんじゃなくて5本全部で、谷啓のガチョーンにも見える花」と。
それはもうグワシ!ではない。
クルマユリの説明はグワシ!ガチョーンの手の詳細説明に始まり、時代じゃないのにその詳しさは何なのさ?の解明に終始した。
もう何を説明してるんだかわからなくなる、
仕舞いにはニンニキニキニキの話しまで出る始末だ。

池の畔では息子が遠い目をして
「虫がいたら一体俺は何しようってんだろう・・・」と哲学的なことを呟いている。

いいんだよ!何も考えなくたって!子供は無邪気に遊べばいいんだ!


蝶ヶ岳まであと一歩というところでとたんに足並みが崩れる。皆心がバラバラだ。
収拾がつかないこの状況に頭痛を感じながら、数段高いところから二人に手招きをする。

「休憩終わり。ここまで来てごらん」と


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そこは森林限界。茫然自失とする二人の前・右手側・左手側にはお花畑が広がる

子)「お母ちゃん、俺死んじゃったのかなぁ。天国かなぁ」
母)「ううん、洞窟通ってないし桃がないし美しい女子がいないから・・・」

桃源郷のことを言っているのか・・・

ハイマツ地帯を右に進み、
足元に転がる松ぼっくりを「・・桃じゃない・・」と確認しながら登る妻が声をあげる。

「敢えて言おう!槍であると!」


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やっぱり総帥のおつもりであったか・・・
レスポンスに困る。


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常念山脈に安曇野から上がってきた雲がぶつかって垂直に登っていく・・・
強風の名所蝶ヶ岳の一片を垣間見た瞬間だった。


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みるみる稜線の右手側は雲でもうもうとする。
山頂付近では歓声があがるほどに。
さすがの息子も圧倒されている模様だ。

いいぞ、息子。感動は宝だ・・・!


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穏やかに続く山脈の尾根道と避雷針のような槍ヶ岳。
長塀の頭にて

いよいよ山頂でのコーヒーが飲める・・・!
ここまで無駄に重い思いをして持ってきたのはこの瞬間のためだ・・・!


20.JPG


この場合「着いたー!」はどのタイミングで言えばいいのか少々戸惑うが、念願の「着いたー!」。
なんちゅう眺めの場所にあるんだ蝶ヶ岳ヒュッテよ。
この屋根も毎年冬には風害で剥がされ打ち替えを繰り返しているという。
それを考えると、こうして山頂でゆっくり出来るのもありがたく思う。

受付を済まして案内されたべッドに荷物を置くと、空模様が心配になる。


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ヒュッテの横から穂高達。


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俺の手より雲のが早かったか・・・(無念)
数分前とは違い風が音をたててるよ!
この何にもしない時間が好きなのに・・・ドヤドヤと雲が押しかけあっという間に雲の大渋滞となる。
息子に慰められたが、
妻には楽しみにとっておいたコーヒーを飲まれ・ここまでの山行の詳細を忘れるほど濃い思い出を作られ・・

「ご褒美は!?ねぇ蝶ヶ岳、褒美はないの!?」な気分だ・・・


23.JPG


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ヒュッテにも暖かい光が入り、テン場には色取り取りの三角形が。
今夜はペルセウス座流星群を見るのだ。そして朝には日の出を見るのだ。
今後の予定を確認すると何やら忙しくなってきた。
ヒュッテの中もそんな話題で持ちきりだった。

仮眠を取り、温かい夕食をいただき、再度仮眠をとる。
真夜中に周りの気配で起き外に出てみる。

空は漆黒というよりは紫黒。
百入茶にも似た烏羽色。何と表現するんだろう、黒の中に青や緑がかったような色。
そこに山の神が躓いて砂糖菓子のような星々をわぁっとブチまけた様だ。

あまりの風と寒さで流石に人はまばら。
瞬きするのが惜しいほどの早さでその砂糖菓子は流れる。
きっと、流れる時はベルリラやヴィブラフォンの様に乾いた音を響かせていく。
今、山には鉄琴楽器の高くて清々しい音がそこかしこから聞こえている。

流れ落ちる瞬間最後の力を振り絞る様に、精一杯 有りっ丈の輝きを見せる砂糖菓子。
大きいものだと一面がパァッと照らし出される。

それでも次から次へと勿体無い位に流れていく。
口を開けて寝たら間違って飛び込んできそうなくらいに。

終わりが無い様にも思えた時間だった。
戻ろうかと腰を上げた瞬間に流れる星に引き止められ・・を繰り返していたら、まるで身体が星の冷たさを奪ったように凍えてしまった。



こうして一日に何度か寝ては起きてはを繰り返していたが、翌日はすっきり目覚めることが出来た。
前日の疲れもとれたかのように体も軽い。


25.JPG


昨夜よりも強く感じるほどの風にも負けず、早朝から日の出を拝むため小屋前をウロウロする。
息子は流星群ではしゃぎすぎたのか起きる気配が無い。


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日の出と同時に穂高も槍も皆赤く染まる。
体に血が流れるように。
自分の手足も、それまで眠っていたかのようにとたんに目覚めて暖かくなる。


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富士山も目覚めたようだ。
日の出を見ると自分達は太陽に生かされているんだなぁと感じることが出来る。

本日は徳沢園への道を戻る。山頂からの景色をしっかりと目に焼きつけてヒュッテに戻る。


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朝食はゆっくりといただき、蝶ヶ岳ヒュッテを後にする。
玄関で靴紐を結ぶ手が重い。帰りの出発はいつもこうだ。


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夜は白骨温泉で一泊、小糠雨の中、白濁の湯に疲れた体を沈める。
“親父の小言と小糠の雨は後できく”
漏れることなく俺は帰宅後熱を出し寝込むハメに。


30.JPG


蝶ヶ岳の絶景と、白骨の音無き雨を朦朧となった意識の中で思い出し、
今回、湖底に沈むオシドリの糞であり・悪役商会であり・腐ったみかんであり・ワンマン社長であり・反面教師であり・ギレン総帥だった妻が差し出した苦し薬を口に含む。
「良薬は口に苦し、病膏盲に入る」と言って部屋から去る妻。

果てしなく嫌味でどこまでもけれんみたっぷりで何考えてるかさっぱり分からない、勝てるわけなんか、ハナっから無かったんだ。

今回も最後まで悪態をついた彼女の勝利にて山行日記は幕を閉じる・・・・・・
タグ:北アルプス
posted by Lilium medeoloides at 23:09| 愛知 ☀| Comment(2) | 登山 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは!!
とても楽しく読ませていただきました(^^♪

蝶ヶ岳〜わたしは、久しく登ってませんが山頂からの槍〜穂高連峰の眺望は最高ですよね。まさに圧巻の一言!!

読ませて頂いているうちに、蝶〜常念辺りに登りたくなりました(^_-)・・・が・・いかんせん体力が問題です!!
Posted by さくら at 2011年04月24日 14:45
さくら さん。 こんばんわ。

四年前の山行ですいませんf(^_^;
昔のアルバムを見ていたらつい懐かしくなり、ブログにアップしてしまいました。

この日は天気も良く穂高連峰と槍ヶ岳を眺めることができ、最高の思い出となりました。また次回、夏の蝶ヶ岳へ出掛けてみたいと思います。今度は蝶槍を越えて常念岳へ行きたいですね(^-^)是非さくらさんにレクチャーをお願いして(笑

また少しずつではありますが、昔の思い出も記録していこうと思ってます。
Posted by Lilium medeoloides at 2011年04月24日 20:23
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